珍愚庵の提案

珍愚庵の提案

珍愚庵の提案 035

運転経験証・無免許証

日本には、国家が全国民に漏れなく発行する身分証明証というものがない。世界の多くの国々では、IDカードというものがあり、特別な資格を何も持たなくても、国民に発行される。そのIDカードには固有の番号があり、これにより住民票、出生証明書、社会保険関連書類などが管理される。

余談だが、日本の世論(何パーセントの支持があるかは別として)は、IDカードに伴う”国民総背番号制”を嫌って、日本には個人番号の制度がない。古い話だが、私は米国の入管でパスポートの他にIDカードを見せるよう求められたことがある。「日本にはそのようなカードがない」と答えるしかなかったので、入国審査官がその点を確認するまで”特別室”で待たされた。

余談の余談になるが、日本には住民票の上で、百数十歳になる長寿者がたくさんいることになっている。かつての社会保険庁に溜まっていた誰のものか判らない年金記録の数も膨大である。日本は管理社会のように言われることがあるが、諸機関を横断して通用する個人番号がないので、正確に管理しにくい部分もあるという例だ。

さて、本題。日本では本人確認のための書類として、運転免許証がしばしば用いられる。役所の窓口、DVDレンタルショップの入会手続きなどで役に立つ。運転する人なら常に身に着けている確率が高いので、旅券や健康保険証などより出番が多いのだろう。それに小さくて財布などに簡単に入るところがよい。

そこで提案。運転免許の更新時に、もはや運転をする意志のない人には、「運転経験証」を発行する。これを持っていても何も運転できないが、警察が一元管理している番号が付いているところに価値がある。優良運転者だった人には、「優良運転経験証」を発行してもよい。デザインの一部を金色にし、箔をつける。仮免許で路上運転練習をする人と同乗する資格を与えることも検討に値しよう。

何も免許を取得したことのない人は、「無免許証」の発行を申請できる。警察が管理する固有の番号、住所、生年月日等が書かれているので、「本人確認のための公的機関発行の書類」として公認する。

こんなもの嫌いだ、不要だ、と考える人は、従来どおり何も申請しなくてよい。なお、言うまでもないがこの提案は、「国民総背番号」の制度とは無関係だということを申し添えておく。個人番号制度は、別途国民全体が考えるべきものだ。


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