珍愚庵の提案

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珍愚庵の提案 037

ガイドボランティアさん

私たちは、多くの国々で国際的な性格を帯びた行事が開催される時代に生きている。オリンピックをはじめとする各種スポーツの大会、芸術や祭典などの文化行事、万博、見本市、国際会議、ほか多種多様である。このような場で、市民ボランティアたちが活躍する姿もしばしば報道される。その多くは、裏方での地味なサポートである。

ボランティアの一つに、通訳がある。行事の会場内のみならず、市中での買い物、観光、見学、食事などのシーンで、簡単な外国語を使って訪問者をサポートする。日本ではあまり見かけないが、オリンピックの期間など、胸にピンバッジをつけ、どの言葉を話せるか分かるようになっている。通訳を本業としているわけではないので、流暢にはしゃべれないが、一向に構わない。顔の表情に身振り手振りを交え、何とかして外国人をサートしようとする姿はほほえましいものだ。

アメリカ、テキサス州のダラス空港には、カウボーイハットを被ったボランティアが待機している。ほとんどは、シニア世代のおじさんおばさんたちで、いかにも頼もしそうな顔つきをしている。日本でも、空港、駅、観光施設、各種イベント会場などで、道案内、乗物案内、切符の買い方ほか「歩くインフォメーション」として、もっと多くのボランティアさんにお手伝いをしてもらうのはどうだろう。西も東も分からない地下鉄の駅などでは、日本人客も助かる。案内所の職員は持ち場を離れにくいのだ。

公的機関がボランティアさんの傷害保険を負担する。ピンバッジのデザインの基本形を決め、ボランティアを志願する市民の胸に付けてもらう。バンダナやネッカチーフでもいいかもしれない。デザインには、主要言語だけでなく、世界各国の公用語のアイコンをどこかに取り込む。オリンピック競技などのテレビ放送に使う、選手の国のシンボルマークが参考になるだろう。

遠い外国で困ったときに、日の丸のピンバッジをつけた人に出会ったらうれしいではないか。もちろん、ボランティアに依存し過ぎたり、過大な負荷をかけるようなことは慎まねばならない。人の善意は大切にしたい。


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