珍愚庵の提案

珍愚庵の提案

珍愚庵の提案 030

パソコンメーカーは交換部品も売ってください

南米で使ってきた、日本のS社製のノートパソコンが故障した。といっても簡単な故障である。液晶画面が消えて真っ暗になってしまった。液晶部を垂直に立てた状態では使えないが、少し後方に倒すと使えたりする。少しでも動かすとまた消えてしまうので、電源を切っても手前に倒して閉じられない。

液晶というものは、それ自体では発光しない。ここがプラズマやLEDと異なる。液晶は、バックライトといって、背後から白色光の蛍光灯で照明されて、さまざまな色に光って見える仕組みだ。この蛍光灯と本体とをつなぐケーブルが切れたのである。切れはしたが、動かすと時々接触するので、そのときだけ使える。

この接続ケーブルは、液晶ディスプレイを開いたり閉じたりできるよう、折り曲げや撓みに強く設計されている。それでも時として、切れることがある。修理は、このケーブルを交換するだけの簡単な作業なのだが、なにしろ日本から遠く離れた南米では、機種特有の部品は入手できない。そこで、バックライトが点灯している状態で、接着剤を使ってその接続ケーブルを固定した。

日本に来る機会があったとき、S社に電話を掛け、バックライトの接続ケーブルを頼んだ。しかし、S社では、部品だけは売らないと言う。パソコンを持って来れば修理できるとのことだ。でも、そのパソコンは南米にあり、毎日使っているので、日本に持ってくることはできないと粘った。押し問答の末、結局断られた。

しばらく後になって、H社のノートパソコンでも同様の症状が表れた。このパソコンは、その1年以上前から液晶画面に縦に30本以上の輝線が表れていて、ケーブルだけ交換するのも面白くないので、外付けのディスプレイを現地で購入して使っている。

私は、パソコンの内蔵ハードディスクドライブの交換やメモリーの増設は数多く手がけてきた。部屋の照明に使う電球や蛍光管を交換するのと、感覚的には大して違わない。部品の規格とパソコン本体との相性(compatibility)を調べて、新しい部品と差し替えるだけである。バックライトの接続ケーブルの交換もハイレベルな知識は必要ない。

メーカーにはメーカーの事情もあるだろう。でも少しばかり融通を利かせてくれたら、そのメーカーのファンになるのに、と思うと惜しい。


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